◆重炭酸温浴法の理由

炭酸泉の歴史
 

炭酸泉入浴は体の芯から温まり、血行促進、冷え、肩こり、腰痛、筋肉痛の改善、自律神経安定などが

期待され、ヨーロッパの天然炭酸泉は2000箇所以上もあり、昔から王侯貴族に愛されてきました。

でもドイツのバード・ナウハイムは心臓の湯、バード・ノイエンナールは若返りの湯と呼ばれ、街全体が

自然療養施設となっており、専任の医師が常駐、心臓病だけでなく、癌や糖尿病、アトピーや鬱などにも

適用され、あらゆる病気の治療や療養に健康保険を使って利用できるほど医療分野で広く活用されていま

す。ramune

日本では、天然炭酸泉は数少なく、有名なものは、大分県の

長湯温泉など数か所しかなく、お湯の温度は皆低温ですが、

長時間入浴することで体が温まり、療養効果があり、ラムネ

の湯などはお肌にびっしり泡が付き女性に人気です。

 
炭酸ガスの効果
 

日本の温泉法では、炭酸泉と呼ぶには遊離炭酸(炭酸ガス)が250ppm以上、療養泉と呼ぶには炭酸ガスを1000ppm以上含有しなければならないとさ れています。

しかし、実は炭酸ガスは酸性でしか存在せず、しかも溶解度は水1リッターに1gr[グラム]1000ppm程度しか溶解しない、非常に水に溶 けにくい物質なのです。

また、酸解離定数はpKa6.35であり、pHが6.35の状態で炭酸ガスの50%は重炭酸イオンと水素イオンに解離して存在します。

ところが、実際のドイツの療養炭酸泉と大分の長湯温泉のpHを実測したところ、ドイツのバード・ノイエンナールやバード・ナウハイムの湯のpHは6.7~6.8程度で、長湯の大丸旅館の内湯は6.98、ラムネの湯は6.10でした。

これら炭酸泉は地下の高圧下で炭酸ガスが過飽和しているため、湧出口では炭酸ガス濃度は高いのですが、湧出口から離れた採取現場のpHからすると、炭酸ガス濃度は低く、その70%以上は重炭酸イオンとして溶解していることになります。

重炭酸イオンは炭酸ガスに比べ溶解度が非常に高いため、炭酸ガスがどんどん重炭酸イオンに変化しながら溶解し、高濃度に蓄積していることになります。

ドイツや日本の炭酸泉のpHは酸性ではなく中性であり、そのため炭酸ガスは殆ど存在せず、殆どが重炭酸イオンであるにもかかわらず体が温まり、湯治や療養効果が長く認められてきました。

一方、大掛かりの機械が作り出す人工炭酸泉や炭酸入浴剤はpHが酸性で高濃度の炭酸ガスを利用しようとしていますがあまり体が温まりません。

また医学的に見ても血管のpHは7.4と中性であり、血管に溶解するのは酸性の炭酸ガスではなく中性の重炭酸イオンです。

今まで自然炭酸泉の高い温浴効果は炭酸ガスだと思われてきましたが、実際の所は重炭酸イオンなのです。

 
炭酸泉の体への効果
 
1 血管拡張作用
 

皮膚、粘膜などの毛細血管や、細小動脈を拡張する作用。

血管が拡張されて血流が改善されれば細胞の新陳代謝が活発になり、体や皮膚に元気が出ます。

 
2 Bohr効果(ボーア効果)
 

血液中の酸素を多く受け取れるようになる作用のことです。

血液の中にある赤血球のヘモグロビンが身体の細胞が必要とする酸素を運んでいます。

ヘモグロビンが酸素を放出しやすくするためには「温度が高い」「炭酸ガス濃度が高い」「pHが低い」という条件が必要です。

この条件のいずれかが満たされると酸素を離しやすくなります。

放出された酸素が多ければ細胞はより多くの酸素を受け取るようになります。

ボーア効果のおかげで新陳代謝が活発になり、自己治癒力が高まります。

 
3 抗炎症作用
 

炎症部分の炭酸ガス濃度が高くなるとボーア効果によって血液から酸素供給が活発になり、細胞の新陳代謝を促進します。

これにより、炎症を速く抑える事ができるようになるそうです。

 
4 リラクゼーション効果
 

炭酸泉は41℃以下の水温で血行を促進するため、自律神経の副交感神経が優位になります。

 
天然炭酸泉について
 

自然炭酸泉は昔から療養目的で使われることの多い温泉の一つです。

これは体に負荷を与えずに血流などを増進して免疫力を高めるなどの自己治癒力改善の効果が期待されているからです。

ところが炭酸泉の主役とされる炭酸ガスは、皮膚から取り込まれることはほとんどなく、すぐに発散して空気中に逃げてしまいます。

炭酸飲料やビールに溶けていた炭酸ガスがすぐに泡になり、消えてしまうことを思い出してください。

ではなぜ炭酸泉が療養泉としていまだに活躍できているのでしょうか。

 
自然炭酸泉の効果の主役は重炭酸イオン
 

直ぐに離散してしまう炭酸ガスですが、実は良泉・名泉と呼ばれている炭酸泉の多くに、2つの共通点がありました。それは名湯といわれる自然炭酸泉の「pH(ペーハー)」と湯中に溶け込んだ「重炭酸イオン」でした。

一般的に日本では炭酸ガスが湯中に1000ppm以上あるものが炭酸泉療養泉、あるいは高濃度炭酸泉と呼ばれていますが、この数値はほぼ過飽和状態に近いものです。しかし、名泉とよばれるドイツの療養泉や、日本の長湯温泉などはpHがほぼ中性に近い6.7〜7.1、炭酸ガス濃度はおおよそ780ppm、温度も40℃以下なのです。

酸性ではなくほぼ中性に近いpH状態ではお湯の中に炭酸ガスは存在できず、重炭酸イオンに変化して滞留しています。

そのため炭酸ガス濃度は低く、自然炭酸泉効果の主体は、炭酸ガスではなく、重炭酸イオンだと考えられるようになってきているのです。