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・ドイツで炭酸泉は医療の対象
・炭酸泉タブレットは水に入れるだけ
・HCO3のリラックス関係
・HCO3と糖尿病との関係
・炭酸泉を発生させる高額な装置が不要
・HCO3と育毛の関係
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元々生物は不思議だらけの物体です。私たちの身体はほぼ60兆の細胞で構成されていますが、
夫々の細胞が体液(体重の60%)の中に浮いて、統一された調和のとれた機能を果たし、
しかも独立した個性ある生命体であることには驚くことばかりです。
正に神業としか思えません。
植物は葉緑素の働きで直接太陽のエネルギーを使って、炭酸ガスと水を基本に多種の地球上の元素を固定し
様々な栄養物質を作り出しますが、動物にはその能力はありません。
ただ植物の作り出した栄養素と酸素を拝借し、摂り込んで燃やし間接的に太陽の恵みに浴し、
生きているに過ぎません。
しかも人間は他の動物さえも食し栄養にして、進化しつつ生き続けている図々しい動物なのです。
人間を造っている細胞は直接太陽のエネルギーを使うことはできません。
肺で空気中の酸素を取り込んで赤血球内のヘモグロビンに渡し、血液(体液の一部)によって細胞集団(組織)に運ばれ、
細胞がその酸素を取り込んで栄養素を燃やしエネルギー(生物学的エネルギー)を取り出しATPという高エネルギー物質として固定します。
この細胞と血液の間でなされるガス交換を肺でのガス交換(肺呼吸=外呼吸)に対し、組織呼吸(内呼吸)と呼んでいます。
この細胞内の発電所(変電所)にも例えられる細胞内小器官がミトコンドリアと呼ばれる植物の葉緑体にも匹敵する膜構造体なのです。
細胞のあらゆる機能は、ここで生産されるエネルギー(ATP)を使って営まれています。
細胞の発電所にも喩えられるミトコンドリア内では、体液(主として血液)によって運ばれてきた栄養素(主としてブドウ糖と脂肪酸)を
同じく赤血球(主としてHb)によって運ばれた酸素を使って燃やし、高エネルギー物質(生物学的エネルギーの塊)であるATPが作り出されます。
この機転はミトコンドリア内の酵素の連鎖によって触媒され、分解・合成の細胞内代謝が促進されます。
この酵素群をチトクローム系酵素(鉄を含む酵素ですが、体内には他の酵素としては筋肉の赤身の要素:ミオグロビン、赤血球内のヘモグロビンなどがあります)と呼んでいます。
この酵素の働きを補助する物質を補酵素と呼び、ビタミンB群及びコエンザイムQがあります。
チトクローム系の酵素群の触媒によるミトコンドリア内のエネルギー産生機転を通称:TCA サイクル(クエン酸回路+炭酸回路)と呼んでいます。
したがってミトコンドリアこそ人間の活力の源という事もできます。
私たちの身体を構成している細胞は、このATPに凝縮されたエネルギーを使って
他の細胞内小器官(リソゾーム・粗面[滑面]小胞体・ゴルジ体・ライソゾーム 及び 核【RNA/DNA】等)で
生活に必要な物質(構造蛋白や機能蛋白・免疫物質など)を造り出し生命を維持しているのです。
TCAサイクルにクエン酸も炭酸も大いに関係していることに注意してください。
炭酸泉タブレット(クエン酸+炭酸)の効果として漠然と代謝アップ・新陳代謝促進・ストレス暖和・疲労回復・エネルギー代謝増加
などが挙げられていますが、このTCAサイクルへの目に見えない関与が寄与しているのではないでしょうか。
もう一つ指摘しておきたい効用があります。
細胞が生きる内部環境の調整(内部環境恒常性=Homeostasis)に一役を果たしていると考えられ、
人の老化に大きく関わると考えられているのです。すなわち重曹(重炭酸ナトリウム)は
水に溶けると弱アルカリ性の重炭酸イオン(HCO3)になります。
それが皮膚から吸収され毛細血管から血中に入りますと、体液の酸塩基平衡を程よく調整し内部環境の恒常性に寄与しているのです。
細胞が生きてゆくのに最適な体液のPhは7,35-7,45の極狭い範囲の弱アルカリ領域にあります。
この体液の酸塩基平衡にはいろいろな要素(内分泌・自律神経系・脳[特に視床下部]・
細胞代謝・呼吸器・消火器[特に胃腸・肝・膵]・腎[特に尿細管など]が関係しますが、
動脈血CO2飽和度と重炭酸イオン濃度が決定的要素なのです。
体液の酸塩基平衡を急激に変化させる事は内部環境に激震をもたらし、
あまり勧められるものではありませんが、皮膚からゆっくりと吸収させ、
やわらかに内部環境を調整することは良い結果をもたらすでしょう。
特にこの炭酸泉タブレットはクエン酸と重曹の固形物であり、湯水にゆっくり溶けだし、
比較的長期に重炭酸イオンを供給します。
さらに皮膚表面に残されたナトリウム陽子は弱酸性のクエン酸に会いクエン酸ソーダとなり、
皮膚表面で弱アルカリの植物性石鹸に変化し、皮膚のクチクラ層を柔らかくし、
重炭酸イオンが皮膚を通りやすくしていると考えられます。
まさに一石二鳥の効果ではないでしょうか。
元 東京医科大学 内科 助教授(医師 医学博士) 今井 敬喜
TCA回路と生体内高分子物質の合成(PDFで読む場合はここをクリック)

酸塩基平衡と健康保持(PDFで読む場合はここをクリック)
